このたびは、数あるお店の中から当店にご来店いただきまして誠にありがとうございます。
当店を開店するにあたって、90年近く続いて参りました「金生庵」(きんせいあん)について少々ご案内させていただきたいと思います。
お時間がございましたらお付き合いいただければ幸いでございます。
皆様初めまして、
そば処 金生庵四代目です。
当サイトでは、ご家庭でも気軽に“専門店のそば味”をお楽しみいただきたく、
「そば処 金生庵」自慢の【そばつゆ】を中心に販売しております。
当店は、遡ること大正7年(1918年)に創業の日本そば屋となりまして、
現在は東京の下町・荒川区に店を構えています。
そんな「金生庵」がどうしてインターネット販売を始めたのかと申しますと、その理由は単純明快、
「店の味をなくしたくない」「もっとたくさんの方にこの味を知っていただきたい!」と思ったからに他なりません。
かくいう私はつい先日まで、いわゆる普通のサラリーマンとしての生活を送ってました。
そんな日々の中でも、毎朝、鰹節からとれる出汁の香りで目覚め、大好きなそばを食べる習慣は、当たり前のように身に染みついているものです。
私が生まれた昭和50年代はというと「てんやもん」の代名詞といえば「そば」でした。
ちょっとした来客に、家族の団らんに、もちろん“年越しそば”や“引っ越しそば”に…と、「そば」はふだんの生活に密着した食べ物だったのです。
それが、いつしか時は過ぎ、“宅配ピザ”“宅配寿司”などのいわゆる「デリバリー産業」に人気が集まり始めるようになりました。
街を、たくさんのデリバリーバイクが行き交う様子を目にする一方で、我が家では、出前のバイクにまたがる父の姿を見る機会が少なくなり、「てんやもん」としてのそばの出番がだんだんと減っていることを肌で感じていたと思います。
それでも、代々受け継いできた味をこれまで大事にしてきた金生庵です。店では変わらず当店のそばを提供し続けてきましたし、
「一部のお客さまでもいい、我が家のそばを求めてくれる方がいるなら」という思いを持って、店を守り続けてきたのでした。
やがて、不況のあおりを受けてか、出前の機会は減れどもそれまで店内を賑わせてくれていた、町の職人や工場で働く人々すらも、次第に姿を消していくように・・・。
そうして地域の老舗のそば屋が次々と店をたたんでいく中でも、
笑顔で訪れてくれる地元の人たちが僅かでもいる限り、ひたすらに毎日おいしいそばを作り続けること――それが、私たち金生庵のポリシーです。
創業から90年以上が経った現在、インターネットが全盛期を迎えて久しい今日となりました。
“そば屋の息子”であり“ネット世代”でもある自身の経験と知識を使い、私にも何かが出来ないかと考えて始めましたのが、こちらのWEBサイト「金生庵」。
我が家の味を、金生庵のこだわりを、たくさんの人々に知っていただきたいとの思いから、サラリーマンを辞め一念発起しての開店に至りました。
現代の「てんやもん」の可能性を探りながら、かつて“おいしいそば”が身近なものであった方々はもちろん、若い世代の皆さまにも“専門店のそば”を見直していただきたいと、奮闘しております。
まずはじめに、当店のこだわりについてお話しさせてください。
金生庵の一番のこだわり、それは【そばつゆ】です。
そばを紹介している雑誌などを手に取ってみると、そこにはみずみずしいそばの写真が並んでいます。
名産地で取れたそば粉を使っていたり、独自の製法を駆使して作り上げている…など、いずれも各名店のこだわりが詰まっているようで、本当にどれもがおいしそうです。
中でも、そば粉の比率に重きを置いた“十割そば”や、土地柄の素材が練りこまれた“変わりそば”など、「そば」というジャンルでは、主に「麺」にこだわりを持たれていることが多いように思えます。
また、昨今ではそばも他の食品と並んで高級化が進んでいるようです。
地域によっては、名産品を使った天ぷらが豪快に乗った一杯数千円のそばなども、人気メニューの一つになっているようでした。
・・・それでは、当店の“こだわり”とは一体どこにあるのか。
そう考えた時、真っ先に頭に浮かんだ答えが「そばつゆ」でした。
そばが好きな方々は、そばのどのような部分に良さを感じておられるのでしょうか?
麺のコシ、蕎麦の香り、歯ざわり等々、もちろん“そばの楽しみ方”は十人十色、様々かと思います。
そうした中、金生庵が考える“そばの楽しみ”とは、のど越しと香り、そして食べた後の余韻にありました。
そして、それを楽しんでいただくための“こだわり”こそが、「美味しいつゆ」に込められているのです。
“のど越し”を楽しむためには、冷たい「もりそば」で味わうのが一番です。
甘辛いつゆに、そばをチョイとつけてズズッとすする!
これは日本の、特にそば特有のユニークな食べ方とも言えそうですね。
外国の方からしてみるとマナー違反な食べ方だという話もよく耳にしますが、そばに限っていえば、この“音をたててすする”のが「粋」だというのは、皆さまもよくご存じのことでしょう。
そばを麺にして、冷たい汁につけてすする食べ方は、江戸時代の頃が発祥だとされています。
かつて西の方では、そばよりも「うどん」が広まったと言いますし、現に今でも関西地方での「そば」と言えば、“薄口の温かい汁がかかった”ものが一般的なようです。
一方の東京では、年越しそばに「もりそば」を召し上がる方も多いくらいで、これが別の地域の方には「どうして年越しそばに、冷たいそばなの!?」と驚かれたりすることもございます。
「もりそば」が主に関東、特に江戸の町で広まったのには、気の短い“江戸っ子気質”が大いに影響しているのでしょう。。。
さて、そうした江戸前のそばにとって楽しみの一つとなる“のど越し”!
もちろん、そばを口の中でもぐもぐと咀嚼(そしゃく)していたのでは味わうことができません。
適量を箸でサッと摘まみとって「つゆ」に付ける。ズズッとすすって、ツルリとした“のど越し”を楽しむ・・・これが“美味いもりそばの食べ方”と、江戸の人々は考えました。
そのために、江戸前そばの「つゆ」はほんの少量つけるだけでも味がしっかり分かるようにと、濃口の甘辛い味に仕上げられてきたのです。
金生庵のつゆもまた、「江戸のそばの楽しみ方」にしっくりとくる、醤油の風味の効いた濃い口に仕込んでおります。
当店のこだわりの「かえし」「だし」から成る【つゆ】。
そばをおいしく食べるために必要不可欠な、江戸前の味をどうぞお楽しみください。
金生庵 四代目 大森基史