そば屋の通販専用うどん 開発日誌
東京の下町らしい「甘辛く」「黒い」自慢のつゆに合わせるため、当店のお蕎麦には「一番粉」を使用しております。
この「一番粉のそば」というのは、そば特有の風味は控えめなものの“のど越し”がたいへん良いため、当店の「ガツン」とした出汁・かえしの効いたつゆにぴったりと合ってくれるんです。
「そば」と「つゆ」、そしてさらに一つの金生庵のこだわり・・・
それが、「うどん」です。
昨今の讃岐うどんブームのおかげもあってか、うどんは関東でも日常的に食べられる麺類の一つとなっていますし、もちろん関西圏では、蕎麦にとって代わるくらいの「麺類の王様」とも呼べるかもしれません
実は金生庵でも、「カレーうどん」「鍋焼きうどん」などのいわゆる「うどんメニュー」での人気品書きが数多く存在します。
それでもこれまでは、あくまで“そば屋”というところにこだわろうとインターネット店舗での取り扱いは見合わせていたのですが・・・
今回、かねてよりお客さま方から寄せられていたご要望にお応えする形で、「うどん」の販売も開始させていただくことにいたしました。
そして、うどんの通販を始めるにあたっては、
「通販だからこそ、生麺だからこそできるあたらしいうどん」
「実店舗で販売しているうどんとはまったく違ったうどん」
を開発することに!
・・・「うどん」は、そばとは全く違った特性を持っている食品です。
通販に耐えられる、だけはでなく
通販するだけの意味がある「美味しいうどん」を作るために。
金生庵メンバー総出で、試行錯誤を重ねました!!
通販専用の「生うどん」を開発する。
始めたのは、"どんなうどんを作るのか"を明確にすることから。
まず、「うどん」そのものについては、これまで実店舗が培ってきた製麺技術がありますので、いともたやすく作り出すことができます。
ですが、今回新たにネット販売を行うにあたっては、
┌────┐ ┌──────┐ ┌─────────┐
│朝に打つ│→│冷蔵便で配送│→│お客様の手元で調理│
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・・・という上記の工程を念頭に置いたうえで「おいしく」なければ、“ただ、店あるものを販売する”だけのことになってしまいます。
東京から発送し、お客さまの手に渡るまでのおよそ24時間から36時間。
この“時間の経過”を上手く利用するというのが、うどん開発のまず最初のポイ
ントでした。
結果、お手元に届いた頃に最良の“質感・コシ”が楽しめるような、
通販専用うどんを作ることが出来ました!
初めに取り組んだ、使用する「小麦粉」の選定
「小麦粉」と一言にいいましても、強力粉・中力粉・薄力粉とさまざまな分類があることは皆さまもご存じかと思います。
さらに、通常うどんに使用する中力粉にもまた、さまざまな種類があるわけです。
今回、通販専用のうどん作りでは、1種類の粉だけに偏らず、いくつかの小麦粉
をブレンドすることから“最適なうどん”を模索していきました。
例えば、「味」がよくてもお客様が調理しにくければ、
それは“最適”とは言えませんし、かといって「調理しやすく」てもおいしくな
ければ、もちろん意味がありません。
また、お客様に調理していただく“通販”だからこそ、すでに販売中の「そば」
とのバランスを考える必要もあったのです。
当店のそばは、およそ3分程度で茹であがるのに対して、うどんはどうしても太
さが違いますから茹で上げにも5分以上を要します。
「家族で楽しむ」「できたてを楽しむ」という観点からすると、この「そば」と「うどん」の茹で時間にあまりに大きな差があってはならないと考えが、まず頭にあったのだと思います。
家庭で茹でる際の「鍋の大きさ」に着目する
うどんを美味しく茹でるとき、そば以上に大切なことは鍋の中でうどんを“くる
くると回転させる”ことです。
そうでなければ鍋の中で麺同士がくっつきあってしまい、むらなく完全に茹で上げることが出来ません。
よく、茹でたうどんを鍋からザルにあけたときに、麺が束になってくっついてしまう…という経験ってありませんでしたか?
「あ〜あ、くっついちゃった!」で済ませていた方も、
「茹で方を間違っちゃったかなぁ…」とお思いになっていた方も。
・・・もしかしたら、その理由の7割以上くらいは、そもそもの「うどん」自身にあったのかもしれません!
よく茹で方の説明書きには「できるだけ大きい鍋で茹でて下さい」と表示されているものですが、では「できるだけ大きい」とは、いったいどれくらいを指すのでしょうか?
当店ではここで、具体的なイメージにご家庭によくあるサイズの「雪平鍋」を据えることにいたしました。
やや深みがあるものならばなお美味しく、しかしとにかくは
“誰でもおいしく茹でられるうどん”を目標に、その開発を進めていったのです。
確かに、出来るだけ大きな鍋(ご家庭ならパスタ鍋や圧力鍋の本体部分など)で
茹でていただくのが一番ではあります。
けれど、逆に“その道具が無ければおいしく出来ない”とするようなうどんの通販なのであれば、それは本末転倒というものです。
かくして検討の末、新うどんに求めるものは、
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/ | ■金生庵の<新うどん>、開発目標! |
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| ●中くらいの鍋でも適度にくるくると回転する位の |
| 「太さ」「長さ」 |
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| ●慣れていない方でも調理しやすいような、 |
| お届けの「状態」 |
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| ●もちろん、のど越し・つや・麺の腰を損なわない、 |
| うどんの「おいしさ」 |
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| ●できるだけ早い時間で茹で上げることができる、 |
| 「調理のしやすさ」 |
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| ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ |
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| ご家庭で無理なく作れて、ちゃんとおいしい! |
| ……………………………………………………… |
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・・・この4項目となりました。
「家庭でおいしく食べることができる」
これこそ通販でお届けする麺のもっとも大事な部分であり、「当たり前」の部分でもあると私たちは考えています。
いくらおいしくっても、それを「おいしく調理できなければ」、結局はおいしく
ないのと同じことですからね!
こんなうどんを作りたい。でもそれは、言葉で表すよりも
ずっと難しい、試行錯誤の連続でした。
噛んだときの印象を左右する「麺の太さ」に、茹でやすさや食べやすさに関わっ
てくる「麺の長さ」は、それこそ何パターンもの組み合わせの製麺と試食の繰り
返しでした。
お届けの「状態」においても、仕上げの打ち粉のタイミングと加減や、包装の方
法、実際に冷蔵便での配送を経てからの変化など、工夫を凝らした点はたくさん
あります。
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太さ 打ち粉 タイミング
茹で時間
長さ 濃度
割合 寝かし 湿度
熟成 温度
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けれど、一番の苦心と発見といえば、やはり「おいしさ」の面を大きく左右する、
原材料選びの部分だったと思っています。
基本のうどん作りに使用するのは、「小麦粉」「塩」「水」、以上。
ベースとなる小麦粉には、様々な種類・銘柄・ランクがありますから、
はじめは“粉のブレンド”によって「新しい、最高のうどんを作り上げる!」そ
んなつもりで張り切って試作に取り組んだのですが、、、
実はこの段階で思いの他、難航してしまったんです。
どの小麦粉を使えばいいか。それが最初の課題でした。
かんたんに言うと、あちらを立てればこちらが立たず。
つまり、それぞれの粉の特性のいい部分だけがうまく組み合わさってくれればよいものの、そうは問屋が卸してくれない!
求める4項目の全てを満たすようなうどんには、思うようになってはくれなかっ
たんですよね。。。
作っては茹で、食べ。作っては茹で、食べ。
おかげ様で毎食うどんの生活が続いたある日、試作用に用意していた様な小麦粉
が、とうとう尽きてしまいました。
試作を続けようにも、そのとき店にあった小麦粉と言えば一種類だけ。
・・・そう、「実店舗のうどん用の小麦粉」です。
(さすがに、これはいかなる時にも切らすわけにはいきませんからね(笑))
ものは試し、とその粉を使ってうどん作りを試みたところ・・・まさに“灯台もと暗し”とはこの事!
今までで、いちばん納得のいく仕上がりのうどんが出来たのです!
必ずしも新しい材料から新しいものが生まれるわけではありませんでした。
もちろん、実店舗とは違った製法や工夫もあります。
それでも、
「これまでの小麦粉を、通販用に新しい使い方で用いること」
これは、新作うどんの開発にとって、大きな発見でした。
ただ必要だから加えるだけではない…「塩」の旨みにも着目!!
一般的なうどん作りに「塩」を用いるのは、生地をまとめて弾力性を高める他、塩の持つ効能によって生地を安定させるためとされます。
これまでの金生庵では、“必要だから”加えていた「塩」。
これをこの機に見直し、しっかりと「おいしい塩」も加えることで、最小限の原材料で最大限のおいしさを引き出したうどんを目指しました。
日本全国どころか世界各国までの情報収集が容易になった現代文明に感謝しつつ、国内はもとより海外からも各種の「天然塩」をさっそくお取り寄せ!
味はもとより、産地も、粒感も、手触りも全く違う様々な天然塩を試し最終的には“にがり”の効いた複雑な旨みとやや尖った塩気のある、「国産の天然海塩」を採用することにいたしました。
やはり、当店の魚節の風味たっぷりのつゆには、海の塩の相性がよかったようですっ。
基本の材料がシンプルだからこそ出来ることもありました。
製法の部分では、常に「時間」との勝負でした。
勝負、といっても何かの作業を“手早く”することでも“短縮”することでもなく、その多くが「待つこと」。
出来上がったうどん生地には、すぐに刃を入れるのではなく「寝かし」の工程を加えます。
これが数分なのか、数十分なのか、はたまた数時間なのか・・・
粉と水とを馴染ませ、よりコシがあり、のど越しが良いうどんを作り出すために、この点でも繰り返しの試作を行いました!
さらには、袋詰めをしてからの冷蔵便での配送時間にもまた「寝かし」の効果があることを考慮して、最初の寝かし時間を調整したりも。。。
「下町のうどん(仮)」ついに完成!
茹で時間「約8分」と、少しだけ着地点が伸びてしまいましたが…
試作を重ね、ついに4つの条件に見合う「新うどん」が完成しました!
●中くらいの鍋でも適度にくるくると回転する位の「太さ」「長さ」
●慣れていない方でも調理しやすいような、お届けの「状態」
●もちろん、のど越し・つや・麺の腰を損なわない、うどんの「おいしさ」
●できるだけ早い時間で茹で上げることができる、「調理のしやすさ」
さっそく「もりうどん」としてその美味しさを確かめるやいなや、「かけうどん」「カレーうどん」「鍋焼きうどん」など、定番の食べ方でも試してみました。
・・・手前味噌になりますが、どの品書きに用いてみても遜色なく、出汁感の強
い汁を殺さない、最良のうどんが完成したと自信を持っています!
ご家庭でも茹で上げやすく、中1日かかる配達時間にも耐え、のど越し・つや・コシを損なわないうどん。
茹で時間だけは、当初の目標であった「5分」から「7〜8分」と少し伸びてし
まったものの、それでもこの点を犠牲にしても過不足ないほどのクオリティーを
出すことが出来たと思います。
冷たくせいろにもっても、温かい汁をかけても、鍋で煮込んでもおいしいうどんは、すなわち一年中楽しんでいただけるということ!
夏の終わりの開発スタートから、秋が過ぎ、、冬を経て…。
ようやく皆さまのもとにお届けすることが出来るまでになりました!!
「讃岐」でも「稲庭」でも「水沢」でもない。
飾り気はないけど、寡黙に汁の味を引き立たせる「下町の頑固親父」のような
『下町うどん』。
うどん派の方はもちろん、そば好きの方もぜひ一度、ご賞味下さいませ〜〜!!!